カムカムエヴリバディ 安子編 22話
おなごはそんなことせんでええんよ
突然の余談。
戦前舞台にした朝ドラは、ヒロインが女学校へ通っている率がとても高いんだけど、調べると当時の女学校進学率は昭和10年の時点で16.5%だそう。*1
なので、安子のように小学校卒業して家事手伝いというのは、おそらくこの時代では一般的な女性なんだけど、朝ドラのヒロインとしてはとてもめずらしい。
「おしゃれと甘いものが好きな普通の女の子」 確か安子はそうナレーションで説明されていた。和菓子が好きで職人になりたいと思ったものの、祖母や母に「おなごはそんなことしなくてよい」と言われて、そういうものかで諦めてしまう、当時の女の子のメンタリティとしてはごく普通のものだったと思われる。
ただそれはそこそこのおうちへお嫁に行き、子供が生まれ、家業が傾くこともなく孫が生まれて、平和な日々がずっと続くなら、という条件がつく。
夫に死なれて守ってもらう相手を失った場合、特別な能力のない彼女は子供を婚家に置いて別の守ってもらう相手のところへ再婚するしかない。
その人生を拒否するなら、娘と一緒に自立するしかない、のだが。
安子の知ってる商売は、祖父や父が代々守ってきた味に、商店街という顔なじみのお得意さんがいる場所で行われてきた、やはり色々と守られているもので、闇市のような生き馬の目を抜くような場所で行うものではなかった。
彼女の選択した芋飴は、日持ちや材料の手の入りやすさと自分で作れるものから考えたものだろうけど、どう見ても闇市に向いた商品ではなさそうだ。
このまま母一人娘一人で食べていけるのかという瀬戸際、聞こえてきた英語の歌声。
吸い寄せられるように足を止めた安子の姿に、涙が出てきた。
英語は果たして彼女を救うのか。