山盛りごはん三杯

映画、ドラマ鑑賞記録

映画/ゴーンガール

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評判通りの大傑作。見応えありで面白かった!

テーマとかそのへんを置いておくとしても、失踪した妻の真相、そして夫がマスメディアと妻が残していった様々な痕跡から、どんどん有罪へと追い詰められていくサスペンス展開は最後まで息つかせぬもので、終わった後「やり遂げた!」という謎の充実感がありました。

出てくるキャラはまっとうなのは夫の双子の妹マーゴと女刑事ぐらいで(弁護士もか)、全員クズかゲスか頭おかしいひとばかり。マスメディアに踊らされ、善意のボランティアに参加している一般群衆ですらまっとうに見えないのだけど、不思議と不快感がなく、あーこういうのあるある、いやあ、ゲスイわあと楽しんで観てしまった。妻を殺したかもしれない情況証拠だらけの不実な夫を、メディアの誘導で煽られてこれ幸いとばかりにサンドバックにする、というのは実際よく見る光景だし、乗っからないようにしたとしても、コテージの隣人の女のようにエイミーのほうが悪いのではないか、という逆張りの感想を抱いたところで、やっぱり乗せられて悪意を抱くのは変わらないのだ。

社会風刺と夫婦の真実とのハーモニーが奏でるスピーディな展開を十分楽しませてもらった。ある意味この物語も、行きて帰りし物語であるのか。

 

以下、物語の核心に触れるネタバレになります。

 

 

 

結婚が怖くなる、女が怖くなる、という感想が多かったらしいですが、確かに夫が浮気して理想の結婚生活が破綻したことで、夫を自分を殺した殺人犯にしたてあげて死刑台に送る……という妻は私もおっかないと思う。

しかし、エイミーはまず両親から「アメイジングエイミー」という理想の子どもをずっとつきつけられ、自分が完璧でないという劣等感を抱かされながら育ってきたという背景がある。ここはあまり物語の中では問題として大きくクローズアップされなかったが、彼女が完璧な結婚と夫婦生活を夫に異常なレベルで要求していたのは間違いなくここに原因の一端があるだろう。

エイミー自体、本当は自殺するつもりだったものの、コテージの隣人と話して自分が傷ついたことを共感してもらえて、少し癒やされたように思えた。それは結果的に裏切られたことになったし、多分エイミーの本質は女にはいつか見ぬかれてしまうものなのかもしれない。

彼女に裏切られたことが逆に大きな悲劇を呼ぶことになったけれど、エイミーに必要なことは彼女自身の傷を誰かが理解し、癒やされていくことだと思う。

ただ、自分を否定するものをすべて排除していく彼女の心を救えるものが果たしているかどうか。

最後、ニックはエイミーとともにいることを選んだけれど、このあと生まれる子どもが、今度はおそらく完璧な母親像を子どもに対して作り上げていくだろうと思うと、もう一度精神的虐待の連鎖が起こる予感しか無い。

ニックがエイミーのそばにいることを選んだことが、子どもにとってなんらかの救いになれるかどうか――……絶望か希望か、答えは分からない。