山盛りごはん三杯

映画、ドラマ鑑賞記録

連続テレビ小説「おしん」:地獄と噂のゾンビランド佐賀編を見終えました…(2)

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思ったより長くなってしまったので、ページを分けます。というか、まだ、内容が佐賀までたどり着いてませんね…。

 

多少の苦労ならオレたちのおしんは耐えてみせる…はず

 

そんなわけで、佐賀へたどり着いたおしんだけど、予想通り歓迎されざる客扱いで、震災から命からがら逃げてきたのに、姑の清は冷たくあたってくる。

とはいえ、私達は彼女が子供の頃、ご飯はおひつについたのをかき集めて食べ、お風呂はドロドロになってる仕舞風呂、雪の中の川でおむつを洗っていた姿を覚えているから、多少の辛い仕打ちでおしんが折れるわけないでしょうと思うわけです。

 

おしんにとって想定外だと思われるのは、舅の大五郎。東京では、さんざんおしんを褒めて、清をけなしていたけど、いざ地元では口先ではおしんを庇ってくれるものの、口先だけで清をたしなめるだけ。最後まで責任をとってくれない。おいこら親父。

なるほど竜三の父親…と遺伝子の仕事っぷりに涙が出そうです。

 

そしてもうひとつの想定外……おしんはかつて、髪結の師匠の髪結「はせがわ」に弟子入りした際、一度は門前払いを食らったものの、裏口から台所へと入り込み、店の家事を一手に引き受け、家事スキルの高さを評価されて「はせがわ」への住み込みを許された…という経緯がありました。だから、その時と同じく家事スキルを発揮して、田倉家に居場所を作ろうと思い、台所を手伝おうとするのですが、兄嫁の恒子からびしっと断られてしまいます。

「この家のしゃもじは、私がお義母さんから受け継いだ。だから家事一切に手出ししないでほしい」

つまり、台所は恒子の城であり領土なので、おしんが手を出すということは、弟嫁による領土侵犯になってしまうんですね。

みんなで手分けして仕事をすれば早い…という合理的な理屈は、田倉家には通じない。

おしんが田倉の台所で間に合ってしまったら、恒子の居場所が今度はなくなってしまう。

「はせがわ」や「加賀屋」のように、適材適所で仕事を任せるのではなく、姑、長男の嫁といった、家族の関係性によって仕事が決まるわけです。向いてる向いてないは関係ないんですね。

 

家父長制のゾンビ

 

ところが、ガチガチの家父長制で田倉家が動いているのなら、大五郎にはもっと権力があるんじゃないか? と思うわけなんですが…。

どうも大五郎は商売に何度か失敗していて、地位こそ田倉家の主人ではあるけど、実権はほとんどないみたいなんですね。そして、家の中を仕切っているのは清。彼女にしてみれば、苗字帯刀を許された豪農に嫁ぎ、姑にいびられ十八年と耐えてきたものの、いざ女主人としての実権を得たときには家は傾いていたという。清にしてみれば騙されたようなものかもしれません。

田倉家の家父長制はすでにゾンビのような状態になっていたわけです。

 

とはいえゾンビだから死んでいても機能はしているわけで、長男夫妻は目上である清に逆らうことは出来ず、恒子がおしんを気の毒に思っても、何もしてあげることは出来ないし、主人である大五郎は清に主導権握られてるから、気遣う言葉をかけるぐらいしか出来ない。

 

竜三は頼りない夫ではあるのですが、それでも、あの時代の男でありながら、雄の面倒をよく見るし、盲目的に清の味方になるわけでもなく、おしんをちゃんと庇ってくれたり、清にとりなしたりしようとするんですよね。

決して、頭ごなしにおしんに言うことを聞かせようとしたりしない。竜三、現代ならいい夫で良い父親なんですよ。

でもそれがまた清の神経を逆なですることに気づいてないところが、さすがというかやっぱりというか期待を裏切らない男・竜三なのですが。

 

田倉家では、どれほどおしんの家事スキルが高くても、その能力を発揮する場所がないため、どうしたって「穀潰し」にしかならない。完全に詰んでる状態なんですね。

働かないわけにはいかないから、清に命じられて、荒れた土地を作男の耕造・佐和夫妻と一緒に耕すしかないのですが、おしんが山形の家を飛び出したのは、ひたすら働き続けて何の甲斐もなく死んでいった祖母のような人生を歩みたくなかったことを思うと、どれほど畑を耕しても、居候・穀潰しの地位から脱出できない仕事を続けることは、おしんにとってかなりの苦痛でしょう。

だけど、竜三にとっては実家で、男だから人間として扱ってもらえている。土間で最後に食事を与えられ、風呂も仕舞風呂、働いて清が死ぬまで耐えたところで田倉家の女主人は恒子なのだから、おしんがここで辛抱して働く意味は全然ないのですが、竜三にはどうもそれがよく分かっていない。

 

ブーメランは思わぬタイミングで返ってくる

 

おしんは、元島原の女郎で同じく姑・小姑にいびられている佐和に、一緒に東京へ逃げようと持ちかけます。

このとき、おしんも判断力を失っていたのか、それともまだ若くて人を見る目がなかったのか、完全アウェイの中唯一優しく接してくれたことで、自分と同じように辛い目に遭っているなら、自分と同じ気持ちであろう…と思っちゃったんですよね。辛抱してる人がみな同じ気持ちであるとは限らない…その場で辛抱することと、未知の場所へ変化を求めることと、後者を選ぶ方が勇気がいる人もいるのだと。

 

そして、こんなときにおしんは二人目を妊娠して、佐和に気づかれてしまう。

 

佐和はいい人なんですよね。優しくて思いやりがある。だからこそ、「彼女の考えるおしんにとって最良の方法を選んだ」。東京で幼児と乳飲み子を抱えて一人で苦労するより、夫と一緒にいて子育てをしている方がいいし、いつか姑だって態度を和らげることもあるだろう。

 

────おしんがかつて、東京で再会した加代が一人、浩太を待ちたいと言ったときに、本当は浩太が帰ってきていたにもかかわらず嘘をついて、彼を諦めさせ、婿を取り新しい生活を送らせようとしたこと。加代のため、ひいては加賀屋のため、それが一番良かれと思って判断したこと。家父長制、家制度を守ろうとしたその判断は、ここでブーメランになって返ってきたという…!

 

おしんの東京への逃亡計画は、佐和から竜三へ伝えられ、追いかけてきた竜三とおしんはもみ合った末、彼女は大怪我を。

 

怪我と二人目の妊娠が、おしんを悲劇に導くのですが、ここで次回へ続きます。佐賀編については次回で終わる予定でしたが、佐賀編のあとの展開がまた観るものを震撼させるものだったので、もうちょっとだけ続く予定。