今日はなにを観た?

映画、ドラマ鑑賞記録

映画/美女と野獣

www.disney.co.jp

観てきました。アニメ視聴済みですが、だいぶ昔に観たきりなので、色々忘れてたり記憶違いがあるかもしれません。

とはいえ、有名なストーリーなのでネタバレありの感想です。

 

実写版観て改めて思ったのですが、この物語は、野獣になった王子の成長物語なんですね。ベル自体は、あの当時の前時代的な女性観に逆らった存在で、読書好きで教養を身に着け、発明が得意、つまり、男に頼らず自立している。

イケメンで強く、村では一目置かれた実力者であるガストンに言い寄られても、彼に頼って不自由な人生よりは、自分の意志で生きていきたい。で、彼女のこの願い自体は最後まで変わることはないんですよね。

ベル自身の成長は、この物語の主題ではない。むしろ、野獣はこの変わり者の美女に自分を受け入れてもらえるよう変わっていこうとすること自体が、物語の課題なのだと思います。

 

物語の発端は、美しいものをたくさん集めて享楽的に生きていた王子が、パーティの最中に訪ねてきたみすぼらしい老女を邪険に扱ったところ、実は老女の正体は魔女であり、王子に「見た目で人を判断する愚かさ」の罰として、醜い野獣と変えられてしまう。

面白いのは、王子はこれによって醜い女性の本質を見抜く、という課題を与えられるのではないんですよね。

魔女の呪いの本番は、ベルという美女が父親を助けるために城を訪ねてきて、彼女と過ごすうちに恋に落ちてしまってから。それまでは、自分のことを分かってくれる召使いたちと一緒にひねくれて引きこもっているだけだったのが(これはこれで苦しいが)、外に向いた瞬間に呪いが一気に愛されない苦しみに変わるんだよね。

自分自身が醜いものを受け入れなかったから、ベルも自分を受け入れないのではないか、というジレンマ。

そして、ベル自身を知れば知るほど、彼女の父親への想いと自立心から、城へ閉じ込めておけない、と一緒にいられなくなっていくという。

 

愛されようとする努力をしなければそのままバラは枯れる。愛されたいと努力をするなら、彼女をそばに置いておけない。

 

魔女の呪いの、なんという策士っぷりよ(笑)

 

逆にベルは、野獣に恋をしなければいけないわけではなく、別に野獣を助けなければ理由もないわけで……あるとすれば狼から助けてもらったり、図書館の本を貸してもらったり、バレ*1の仁義ぐらいで、彼女の意志は最後まできちんと尊重されてるんですよね。

 

ベルに愛されることで救われるという展開は、一つ間違うと男にとって都合のいい話になってしまうんですが、ベルを都合の良い聖女にはせず、二人で少しずつ歩み寄っていく心情の変化は、かなり気を使って丁寧に描いていったなあと思います。

ベルが野獣にとって都合のいい聖女になってしまったら、この物語は崩壊してしまう。誰かの本質を見た目に惑わされず理解し、分かり合うことの美しさとして、恋愛を描いていった。ほんと、最後までロマンティックに酔いしれることが出来た、傑作だと思います。

 

あ、ガストンは実写版で上手くパワーアップしてましたね。戦争帰りである、時代遅れの女性観、ああこりゃベルとは合わないわと同時に、ル・フウ*2がだんだん彼の本質から引いていくところとか、こちらも色々奥行きが作られてるなあと思いました。

 

いろいろ書いちゃいましたが、実際は観ている最中、ずーっとエモーショナルな展開に、何度も何度も泣いてたので、小難しいこと考えることなく楽しんで来ました。

 

まあでも、ベルさん、本当は野獣でなく図書館と結婚したんじゃないか…って、ちょっと思いました。

 

www.buzzfeed.com

神インタ。

 

*1:過去への旅

*2:同性愛描写、全然騒ぐほどじゃないし、言われなければ気がつかない人もいるんじゃないか…?

映画/ちはやふる 上の句

chihayafuru-movie.com

★★★★

 

原作未読ですが、面白かったです。

原作物によくある、名場面切り貼り映像化でも、忙しい人のためのなんとかでもなく、ちゃんと映画として筋が通ったストーリーであり、キャラの心情変化や成長も違和感が無い、その上で、友情・努力・勝利がきちんと描かれた、原作を観なくても面白い作品でした。

原作物の映像化は名場面集にしちゃうと面白くもなんともないんですよね。ちゃんと一本の映画として、原作をきちんと噛み砕き、テーマのためにストーリーを丁寧に再構築して、原作の魅力を凝縮した一本の物語にする……。これがなかなか出来てる原作物は多くないと言われますが、この作品に関しては上手くできているのではないかと思います。

 

しかし、青春って素晴らしいね……。

そして、私の好きな天才に憧れる凡人の話でもありました。

凡人が天才を追いかける話好きなんですよね。

 

それにしても広瀬すずはかわいいですねえ。かるた馬鹿でそれ以外のものに全く気が回らない、いわゆるカルタの天才少女の残念な美人がとてもハマってました。

映画/Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」

gaga.ne.jp

★★★+1/2

イアン・マッケランの老人の演技が素晴らしかった。しゃんと背が伸びて、ぴしっとスーツを着こなす、これぞ英国紳士という姿と、隠居してのんびりしている老人の姿のギャップに眼を奪われた。

イアン・マッケランと少年の農場でののどかな毎日を眺めてるだけでもいいぐらい。

日本の描写は、さすがにこの時代で中国のイメージと混じってるのはどうかと思ったが、あれは老齢のホームズの回想だとすれば、記憶が混濁してるせいと言えないでもない。それにしても真田広之もかっこいいなあ。イアン・マッケランと並んだ姿は貫禄がある。

隠居先のセブンシスターズの風景もいい。あの印象的な白い崖はファンタジックに見えて、ホームズの隠居先がファンタジー的な異世界のような印象があって、とても効果的だった。

老人と孫、師匠と弟子という、優しい関係を美しい田舎の映像の中で楽しむという映画だったと思う。

 

映画/海街Diary

umimachi.gaga.ne.jp

★★★★

原作未読。面白かった。監督の鎌倉の古民家に暮らす四姉妹萌えが、とても良い感じに映像とストーリーに作用していたと思う。四姉妹それぞれの人生と親子関係と色んな物があるけど、ただそこに生活している姿を優しく見守ってる視点がとても良かった。

また邦画にありがちな、変な辛気臭さやシリアスさや葛藤がなかったのもいい。描きようによってはいくらでもギスギスした話にも出来ると思うけど、それよりも穏やかに暮らす四姉妹の姿いいよね、って方を優先したことを評価したい。

押し付けがましい、丁寧な暮らしは好きではないが、四姉妹がその暮らしのために生きているのではなく、ちゃんと生活も考え方も夢も持ってた上であの生活が自然に成り立っているので、ずっと飽きずに眺めていられるのだと思う。

出来る限りの自然さを再現して構築した人口の庭なんだと思うけど、監督の愛情が隅々まで行き届いた世界を見せてもらった感じで、それは何かいいものを見せてもらったなあ、得したなあと思う、そんな映画だった。

映画/スター・トレック(2009),ジョン・ウィック,アバウト・タイム

ひとつひとつ書く気力がないものの、忘れないうちに簡易版で

スター・トレック(2009年度版)

カークとスポックの出会いから、二人がともにエンタープライズへ乗るまでの話。ブロマンス最強。クリス・パインのカークは愛嬌があって、熱血な感じがいい。★★★★

・ジョン・ウィック

キアヌ・リーブスのガンアクションがひたすらかっこよく、映像もスタイリッシュ、ストーリーもひねってなくて真っ直ぐ一本道で分かりやすいのだけど、何か物足りない感じがずっとつきまとってた。とはいえ、二作目は劇場に観に行きたい。★★★

・アバウト・タイム

時間改変物。最初、恋愛物だと思って観始めたけど、実際は素晴らしいホームドラマだった。最後のタイムトラベルで号泣。夫婦や子供、兄妹、親子愛と、家族への愛のあふれる優しい物語。

なお時間改変SFとはいえ、変わるのは自分と周囲の人生だけという縛りがあるので、あっちこっち時代が行き来するわけではなく、それほど複雑な構成は取られていない。SF苦手な人も楽しめる描き方だと思う。 ★★★★★

映画/ボーン・アルティメイタム

movies.yahoo.co.jp

自分を暗殺者に仕立てあげたCIAの極秘プロジェクト、“トレッドストーン計画”などに関する取材を進めていた新聞記者ロス(パディ・コンシダイン)とロンドンで接触しようとしたボーン(マット・デイモン)。しかし、CIAの現地要員に監視されていたロスは、若い暗殺者(エドガー・ラミレス)に狙撃されてしまう。

シネマトゥデイ

 

 ★

3部作、最終作。

事の真相自体はもうほぼ分かっているので、CIAの陰謀とボーンの行く末をどう落とし前つけるか、ってだけの話だと思う。なので、衝撃の結末という煽りはちょっと行き過ぎではないかと。むろん、もう一回ぐらいどんでん返しがあっても良かったかもしれない。

アクションは最後まですごかった。ボーンのアクションは派手さはないけど、物理でゴリ押しではなく知力や技で強い、というのがきちんと表現されてるので、むしろどう切り抜けるのかいつも興味深くて身を乗り出してしまう感じ。

新聞記者との接触や、モロッコでの追跡、CIAからの逃走と体一つで窮地を、マット・デイモンのクールな表情で切り抜けていくのが痛快なんだよね。とにかく冷静というところが、鍛え上げられた暗殺者のプロという感じで敵に回したら怖いと思う。

ラストのカットも見事。

そして、ニッキーは第一部では単なるオペレーターだったのに、第二部でも巻き込まれ、第三部でついにヒロインに昇格してて吹いた。髪を染めて切るところは、アイデンティティのマリーを意識してるんだろうなあ。

 

さて、今年新作が発表されるとかで、新キャストも投入されるそうだし、どんな作品になるかすごく楽しみ。

映画/ボーン・スプレマシー

movies.yahoo.co.jp

ジェイソン(マット・デイモン)とマリー(フランカ・ポテンテ)は人目を避け、インドのゴアで暮らしていた。相変わらずジェイソンの記憶は戻っていなかったが、町で見かけた男(カール・アーバン)が暗殺者と気づき……。

シネマトゥデイ

 

 ★★★★★

 

引き続き2作め視聴。全然テンション落ちてなくてすごく面白かった。私、このシリーズ好きです。

地味って評価も多いけど、渋いって言うんじゃないかな。

この物語はジェイソンが自分自身の正体を探るというのがメインなので、確かに世界各国に関わる大いなる陰謀という派手な事件は出てきませんが、ジェイソンが自分自身を見つけていくに従って、CIA内部の陰謀も明らかになっていき、最初はある人物の策略で敵対することになったジェイソンとパメラの誤解が、ジェイソンの大きな危機になっていき、CIAという大きな組織を、その場の機転や身ひとつで退けていく彼の活躍がとても痛快なんですよね。

なので、地味とは言っても、決してつまらなくない。むしろどんどんのめり込まされてしまう。

あと、舞台がヨーロッパなのもいいんですよね。

そして、最後の最後、ジェイソンがやりたかったことに涙。前回もそうでしたが、彼は本当に子供に対して優しい。それがたとえ罪悪感からのものだとしても、

 

なんとなくなんですが、作品の系統として「マスター・キートン」に近いのかなと思います。

ジェイソンの持つ知性と繊細さは、この仕事には向いてなさそうなのに、能力的には一番向いてしまっている悲劇が、この物語の魅力なのかなあと思いますね