今日はなにを観た?

映画、ドラマ鑑賞記録

映画/Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」

gaga.ne.jp

★★★+1/2

イアン・マッケランの老人の演技が素晴らしかった。しゃんと背が伸びて、ぴしっとスーツを着こなす、これぞ英国紳士という姿と、隠居してのんびりしている老人の姿のギャップに眼を奪われた。

イアン・マッケランと少年の農場でののどかな毎日を眺めてるだけでもいいぐらい。

日本の描写は、さすがにこの時代で中国のイメージと混じってるのはどうかと思ったが、あれは老齢のホームズの回想だとすれば、記憶が混濁してるせいと言えないでもない。それにしても真田広之もかっこいいなあ。イアン・マッケランと並んだ姿は貫禄がある。

隠居先のセブンシスターズの風景もいい。あの印象的な白い崖はファンタジックに見えて、ホームズの隠居先がファンタジー的な異世界のような印象があって、とても効果的だった。

老人と孫、師匠と弟子という、優しい関係を美しい田舎の映像の中で楽しむという映画だったと思う。

 

映画/海街Diary

umimachi.gaga.ne.jp

★★★★

原作未読。面白かった。監督の鎌倉の古民家に暮らす四姉妹萌えが、とても良い感じに映像とストーリーに作用していたと思う。四姉妹それぞれの人生と親子関係と色んな物があるけど、ただそこに生活している姿を優しく見守ってる視点がとても良かった。

また邦画にありがちな、変な辛気臭さやシリアスさや葛藤がなかったのもいい。描きようによってはいくらでもギスギスした話にも出来ると思うけど、それよりも穏やかに暮らす四姉妹の姿いいよね、って方を優先したことを評価したい。

押し付けがましい、丁寧な暮らしは好きではないが、四姉妹がその暮らしのために生きているのではなく、ちゃんと生活も考え方も夢も持ってた上であの生活が自然に成り立っているので、ずっと飽きずに眺めていられるのだと思う。

出来る限りの自然さを再現して構築した人口の庭なんだと思うけど、監督の愛情が隅々まで行き届いた世界を見せてもらった感じで、それは何かいいものを見せてもらったなあ、得したなあと思う、そんな映画だった。

映画/スター・トレック(2009),ジョン・ウィック,アバウト・タイム

ひとつひとつ書く気力がないものの、忘れないうちに簡易版で

スター・トレック(2009年度版)

カークとスポックの出会いから、二人がともにエンタープライズへ乗るまでの話。ブロマンス最強。クリス・パインのカークは愛嬌があって、熱血な感じがいい。★★★★

・ジョン・ウィック

キアヌ・リーブスのガンアクションがひたすらかっこよく、映像もスタイリッシュ、ストーリーもひねってなくて真っ直ぐ一本道で分かりやすいのだけど、何か物足りない感じがずっとつきまとってた。とはいえ、二作目は劇場に観に行きたい。★★★

・アバウト・タイム

時間改変物。最初、恋愛物だと思って観始めたけど、実際は素晴らしいホームドラマだった。最後のタイムトラベルで号泣。夫婦や子供、兄妹、親子愛と、家族への愛のあふれる優しい物語。

なお時間改変SFとはいえ、変わるのは自分と周囲の人生だけという縛りがあるので、あっちこっち時代が行き来するわけではなく、それほど複雑な構成は取られていない。SF苦手な人も楽しめる描き方だと思う。 ★★★★★

映画/ボーン・アルティメイタム

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自分を暗殺者に仕立てあげたCIAの極秘プロジェクト、“トレッドストーン計画”などに関する取材を進めていた新聞記者ロス(パディ・コンシダイン)とロンドンで接触しようとしたボーン(マット・デイモン)。しかし、CIAの現地要員に監視されていたロスは、若い暗殺者(エドガー・ラミレス)に狙撃されてしまう。

シネマトゥデイ

 

 ★

3部作、最終作。

事の真相自体はもうほぼ分かっているので、CIAの陰謀とボーンの行く末をどう落とし前つけるか、ってだけの話だと思う。なので、衝撃の結末という煽りはちょっと行き過ぎではないかと。むろん、もう一回ぐらいどんでん返しがあっても良かったかもしれない。

アクションは最後まですごかった。ボーンのアクションは派手さはないけど、物理でゴリ押しではなく知力や技で強い、というのがきちんと表現されてるので、むしろどう切り抜けるのかいつも興味深くて身を乗り出してしまう感じ。

新聞記者との接触や、モロッコでの追跡、CIAからの逃走と体一つで窮地を、マット・デイモンのクールな表情で切り抜けていくのが痛快なんだよね。とにかく冷静というところが、鍛え上げられた暗殺者のプロという感じで敵に回したら怖いと思う。

ラストのカットも見事。

そして、ニッキーは第一部では単なるオペレーターだったのに、第二部でも巻き込まれ、第三部でついにヒロインに昇格してて吹いた。髪を染めて切るところは、アイデンティティのマリーを意識してるんだろうなあ。

 

さて、今年新作が発表されるとかで、新キャストも投入されるそうだし、どんな作品になるかすごく楽しみ。

映画/ボーン・スプレマシー

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ジェイソン(マット・デイモン)とマリー(フランカ・ポテンテ)は人目を避け、インドのゴアで暮らしていた。相変わらずジェイソンの記憶は戻っていなかったが、町で見かけた男(カール・アーバン)が暗殺者と気づき……。

シネマトゥデイ

 

 ★★★★★

 

引き続き2作め視聴。全然テンション落ちてなくてすごく面白かった。私、このシリーズ好きです。

地味って評価も多いけど、渋いって言うんじゃないかな。

この物語はジェイソンが自分自身の正体を探るというのがメインなので、確かに世界各国に関わる大いなる陰謀という派手な事件は出てきませんが、ジェイソンが自分自身を見つけていくに従って、CIA内部の陰謀も明らかになっていき、最初はある人物の策略で敵対することになったジェイソンとパメラの誤解が、ジェイソンの大きな危機になっていき、CIAという大きな組織を、その場の機転や身ひとつで退けていく彼の活躍がとても痛快なんですよね。

なので、地味とは言っても、決してつまらなくない。むしろどんどんのめり込まされてしまう。

あと、舞台がヨーロッパなのもいいんですよね。

そして、最後の最後、ジェイソンがやりたかったことに涙。前回もそうでしたが、彼は本当に子供に対して優しい。それがたとえ罪悪感からのものだとしても、

 

なんとなくなんですが、作品の系統として「マスター・キートン」に近いのかなと思います。

ジェイソンの持つ知性と繊細さは、この仕事には向いてなさそうなのに、能力的には一番向いてしまっている悲劇が、この物語の魅力なのかなあと思いますね

 

映画/ボーン・アイデンティティー

movies.yahoo.co.jp

 ある嵐の夜、イタリアの漁船が洋上に漂う意識不明の若い男を発見する。引き上げられたその男の背中には弾痕があり、皮下にはマイクロカプセルが埋め込まれ、それにはスイスの銀行の口座番号が印されていた。男はなんとか息を吹き返すが、記憶を失っており、自分の名前も分からない状態だった。数週間後、彼は身元の唯一の手掛かりであるスイスの銀行に向かう。その貸金庫にはジェイソン・ボーン名義を含め6ヵ国のパスポートや大金、そして拳銃が入っていた。やがて暗殺者たちに狙われ始めた彼は、偶然出会ったマリーの協力を得てパリへと向かうのだったが…。

allcinema ONLINE

 

 ★★★★★

キングスマンで、エグジーが犬にJBとつけたのを、アーサーが何の略か訪ねた時に、ジェイムス・ボンド? ジェイソン・ボーン? と上げてたわけですが、そのジェイソン・ボーンってそういえば知らないぞ、と思ってレンタルしてきました。

ちょうど「オデッセイ」でマット・デイモン観たばかりですしね。

 

面白かったです。アクションがリアル寄りなのも良かったですが、主人公が自分の正体を追っていく過程と、割りと早くこちらには正体をバラして、彼を追う側と両方の様子を進めていく神の視点ゆえのハラハラ感がとても面白かった。

ジェイソンはかなり優秀なスパイだと思うのですが、記憶を封じられてるハンデがいい具合ですね。全部分かってたら、ジェイソン無双になっちゃっただろうなあ。

それでは物語にならないわけですが。

マット・デイモンの真面目そうなたたずまいもまた強すぎない印象でいいですよね。紳士風でもなくマッチョでもない、珍しい感じ。ヒロインがパリまでのドライブのうちに彼に肩入れしていってしまうのも納得のいくところ。

全編、雪が目立つヨーロッパの冬の風景も物語をシックな雰囲気に見せてますね。

派手な展開はないですが、ストーリーと謎解きとでぐいぐい引っ張っていく作風はとても好みです。

クライマックスでなぜ彼がそうなったか、彼が何度も銃を置いていくのか、なぜあれだけ優秀な暗殺者でもある彼が、背中を撃たれて記憶をなくして海の上に浮いていたのか、その意味が分かった時の感動、そしてラストの皮肉な結末が、収まるべきものが収まった、という不思議な気持ちよさがありました。

ただ派手な見栄えがするアクションではなく、きちんとストーリーとリンクしたアクション描写がとても好きです。

映画/エターナル・サンシャイン

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ジョエル(ジム・キャリー)は、別れた恋人・クレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)が自分との思い出を消すために記憶除去手術を受けたことを知り、自分もその手術を試すが……。

シネマトゥデイ 

 ★★★★★

 

一時のケンカで恋人の記憶を消してしまったものの、その記憶を取り戻すことで、二人が再びお互いのかけがえのなさを確認するハートフルストーリー

……だと思ったら、(いや、そう言う話ではあるんだけど)違った。

SF的な構成の妙が冴える、歯応えのある映画だったと思う。

記憶の中の出来事と、現実の出来事、そして記憶を消すための会社の社員たちと博士と、シンプルなストーリーかと思いきや、恋にまつわる辛い記憶と、それを消すことで辛さは解消されるのかという問いが、主人公二人ではなく、思わぬ方向へ飛び火しジョエルの記憶の中だけの狭い物語だけでなく、外でも繰り広げられていくのが意外だった。

ジョエルとクレメンタインの関係を掘り下げるというより、視点がもう少し上に設定されていて、決してハッピーだけではない恋人との日々を俯瞰的に描いていて、二人に共感しながら情緒的に観るというより、構成が練りに練られたクールなタイプの作品だったと思う。なので、耽溺して観るというより、二人(と記憶消去会社の社員たち)を観察するというタイプの展開なので、恋愛ものを期待すると肩透かしになるのではあるまいか。

 

ただ、メアリーの描写によって、恋愛感情のかけがえのなさと厄介さは恋愛映画としてしっかり主張されていたと思う。メアリーこそがこの映画のテーマを体現する存在なのだと思う。最初はなんだこの女と思ったけれど、彼女の事情が明かされた時にこの映画のテーマが鮮やかに浮かび上がって、鳥肌が立った。

 

ジョエルとクレメンタインの行く末も、感動的なハッピーエンドという盛り上がる演出はなされていない。でも、平凡で何事もなく、時々痛みもあって、時々辛いこともあって、腹が立つこともあって、でも時々記憶の中で何よりも輝く瞬間がある……

恋愛っていい、と最後に思える、恋愛映画として良い仕事をした作品だったと思う。