映画/ホット・ファズ
「ショーン・オブ・ザ・デッド」がとても面白かったので、同じくサイモン・ペグ&ニック・フロストのコンビの刑事ものを。
コメディタッチなのに、ストーリー自体はとても手堅く、展開の持って行き方が本当に上手いなあと思う。都会育ち……というよりは、性格が生真面目な委員長タイプで、能力も高いゆえに警視庁でも持て余され田舎に飛ばされたニコラスだけど、当然優秀すぎて平和な田舎町ではさらに能力を持て余してしまうのだけど
……と、それゆえに田舎での委員長タイプの警察官と田舎ののんびり警察官コンビの、都会と田舎あるある的なドタバタが描かれるかとおもいきや……
ところで冒頭、ニコラスを異動させる上司組の中にマーティン・フリーマンがいて、えっこんなチョイ役で出てるんだとびっくりでした。
以下ネタバレなのでたたみます
思いきや、いきなり起こる凄惨な事件。
これ、のどかな田舎町のコメデイ警察ものじゃねえええっ、って裏切り方から一気にサスペンス(しかし絶対笑いは忘れない)展開になって持って行くところは、「ショーン……」と同じく日常からのどんでん返しが本当に上手いです。
どんどん残酷な事件が起こっていくのに、すべて事故として処理されていく違和感。
田舎ならではのいやーな閉塞感というのは、やはりどこの国でも同じなんでしょうか。
今回は、ニコラスというマレビトが父親に囚われているダニーを解放するストーリーが軸になってるんですね。堅苦しいところのあるニコラスもまた、ダニーによって柔らかさと友情を知っていくという、互いに互いを補いあっていくコンビというのはいいものですよ……(陶酔)。
そして、ぬるま湯に浸かっていた同僚たちも、ついに事態を把握してニコラスたちのために立ち上がるところは圧巻。これは燃えずにいられようか。
笑いとアクションとサスペンス、そして友情がほどよく交じり合い、伏線はきっちり消化し切って終わるという、最後まで丁寧な仕事に酔いつつ、一気に楽しめるアクションサスペンスの傑作でした。