山盛りごはん三杯

映画、ドラマ鑑賞記録

映画 シュガー・ラッシュ:オンライン スピード感あふれる豪華で楽しい傑作、だけどこれじゃない…

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シュガー・ラッシュ」は前作視聴済み。無関係に見えるすべてのエピソードが最後に向かってきれいに収束していく、伏線回収の鬼のような構成がたまらない傑作でした。

さて、今回は、構成や伏線回収の「ああ!」というカタルシスはあまりなかったですね。まるでジェットコースターのように周囲の風景も何もかも振り切って一気に走り抜けるような感じでしょうか。

インターネットやディズニー作品の豪華なキャストたちが次から次へと登場してきて、その扱い方もお行儀のいいものだけじゃなく、なにげに毒も効いてるのには作り手の余裕を感じたり、笑ったり感心したりしているうちに終わった感じです。このキャストたち(故スタン・リーまで!)だけで十分楽しめました。

お話も丁寧にまとめてありますし、映像の迫力はすごかったです。インターネットの擬人化描写もなかなかセンスが良く、ところどころにちょい黒いものもあって面白かったですね。

 

だからこそ、最後見終わって、はあ…とため息が出ました。

映画としては素晴らしい。でもシュガー・ラッシュで観たかったのはそういうんじゃないよ……と。

 

以下ネタバレなのでたたみます。

 

 

 

ヴァネロペとラルフの関係性の苦い変化の描写は、観終わった後ずっといろいろ考えてたんですが、特に間違っているとは思わないです。彼らで何を描きたいかもちゃんと分かります。二人の心情の描き方はとても丁寧ですし、子供向けとしても適切なラインで留まってると思います。

 

でも、私はこんな生々しい、共依存の夫婦の離婚話みたいなのはこの二人で見とうはなかった……。

 

閉じた世界を走り続け、閉じた人間関係の中にいたヴァネロペが、都会へ出ていろんな刺激を受けて、自己実現のためにここにいたいと考えるのも分かるし、ヴァネロペのために生きていたラルフが、朝ドラの幼馴染が都会に憧れるヒロインを田舎へ連れ帰ろうとするように、彼女の居場所を必死で作ろうとしてやりたくもないことを頑張って、ついにはストーカーみたいになっちゃうのも分かる。違和感はない。

別にラストだって、お互いの意志を尊重して違う場所で別々の目的のために生きよう、というのも間違ってはいない。むしろ、親友として正しいあり方だと思う。

 

正しいのだ、すべて。

でもトゥルーエンドかもしれんけど、ベストエンドなのか? って思っちゃったんですよね。

 

ポリコレとかフェミニズムとかどうこうじゃなく、むしろそれらはどちらも必要なものだけど、男女の友情ものとしてもっと他にいいラストがあったんじゃないかなあ。

ハッピーであればいいっていうわけじゃなく、ビターエンドとしてももっと違う終わり方。

なんか「正しい」だけのラストに収まっちゃった感があって、これはラルフとヴァネロペでなければならない答えなんでしょうかね?

 

ラルフは、自分の中の孤独と友達への執着を醜悪な形で見せつけられて、対峙することで乗り越えられ、ヴァネロペの手を離すことができたんで、まあそれでいいんですけど、問題はヴァネロペで。

この作品の中でプリンセスの定義を皮肉っぽく「大きな男の人に助けられてると思われてる」と言ったんですが、ヴァネロペは「美人でカッコいい女性に助けられてる」のは、それはいいんでしょうか。

シャンクはとても強く、凛とした女性で、多分中の人の当て書きなんだと思うんですけど、確かにああなりたいと思える素敵な人です。でも、完璧過ぎて、女ではあるけど、役割としては王子様なんですよね。だから、実はヴァネロペは旧来のプリンセスらしいプリンセスである、という皮肉なのかなとも思ったんですが、それを示す描写は特にないので悩ましいのです。

 

まあ前作でもヴァネロペはラルフを振り回す、ファム・ファタールみたいなもんなんで、本来ラルフの成長ものだからヴァネロペの成長は描かなくてもいいのかもしれないんですけど、やっぱりもやもやっとしてしまうんですよね。

 

最後に、親方、空から女の子が…とばかりに落っこちてきたラルフがプリンセスたちに助けられ、ドレスを着せられてカエルにキスされて目覚める…というプリンセスの役割を与えられたのは、ラルフこそがプリンセスである、という意味なんでしょうか。

 

王子様とプリンセスの物語ではないかもしれない。では王子様とプリンセスでない、違う魅力的な関係を提示出来てたかというと、ただ、友達としての正しい行動の域に留まっちゃったのが残念でした。

 

ドラマはすごく楽しかったけど、もやもやするところまでが映画の狙いだったとすれば、ディズニー侮れねえと思うんですけど。

 

ところで、巨大化したラルフがAmazonの注文飛ばしたり、運ばれてるメールがふっとばされたところでは、まじでネット外で起こってることを想像してぎゃって声が出そうになりました(笑) コノザマやめてー、メール消失やめてー。

ただGoogleのビルに巨大化ラルフがよじ登ったとこでは、よーしやっちまえと思ったのは…いやいやそんなお世話になってるのにそんな…。いやあ、あのGoogleAmazonに映像の中とはいえあんな無体ができるのは、Disnyだけだよなと改めてひれ伏したのでした。