山盛りごはん三杯

映画鑑賞記録

映画/永遠の0

観てきました。原作未読です。

思った以上に面白く、太平洋戦争に対して、必要以上にウェットでもなく、批評的な視点も入っており、真摯な作品になっていたと思います。ことさらに悲劇性を強調されると、反戦映画とはいっても、心理的に辛いのだけど、この映画はそうではなく、状況を出来るだけウェットにならないよう描いていたせいか、より強く戦争はダメだなあという感覚が強く感じられたのですよね。

 

 

 主人公の宮部久蔵は精神論ではなく、冷静で賢明な視点で戦局を見ており、感覚もどちらかといえば現代のヒーローに近いものを持っていたと思います。だから余計に、精神論に惑わされることがないからこそ、状況に対して臆病にならざるを得なかった。現実主義者だからこそ、その態度が本人をよく知らない人からは臆病に見えてしまった。

こういう人は、あの同調圧力が異様に働いていた戦場では、見えすぎるゆえに、絶望したくなることが多かったかもしれない。それでも挫けず、救える人をとにかく救うという精神は、紛れも無くヒーローであり続けたんじゃないでしょうか。

実際、彼の「生きろ」という精神で救われた人もいたわけですし。

そして、妻に対する約束の絶対戻ってくるという言葉は、少なくともコートはちゃんと妻の元に戻ってきたし、宮部の生き方が巡り巡って、彼女を救うことになったり(この伏線と回収は見事だった!)、誰かを守りたいと思って戦場へ出た人たちの気持ちを思うと、やはり二度と戦争はやっちゃダメだよなあと改めて強く認識しました。

悲劇を押し付けがましくなく描写していたせいで、逆に特攻隊や日本軍のことなど、かえって色々考えてしまった気がします。全部描いちゃわなくて、健太郎とともにこれからどう生きていくとよいのか、良い感じで余白を作っていたように思いますね。

 

あとは、艦これやってたせいか、「こ、これが赤城さんの二重甲板か」と感動したり。

それと、夏八木勲初め橋本功、田中泯山本學と老俳優たちの名演が素晴らしく、重厚さをストーリーに与えていたと思います。

景浦が最後に、おそらく宮部に対する万感の思いを込めて健太郎を抱きしめるシーンは泣けました。

 

一人の好漢の生き方が、地獄のような世界に、いくつかの小さな奇跡を起こしていった。たった一人では歴史を変えることは出来なくても、愛する人の人生を守ることは出来る、そういう、EDの「蛍」のように優しいお話だったと思います。